拒食症や過食症といった摂食障害。なぜ起こるのか、身体はどうなってしまうのでしょうか。原因として考えられるものは、いくつかあります。
摂食障害とは
摂食障害は特に若い女性に多く見られる症状です。
食べたくない、食べられない、といった症状の「拒食症」と衝動的に食べたくなってしまう「過食症」の2つの症状があります。
どちらか一方の症状が出る人と、拒食症のあと過食症になるなど、両方の症状に悩でいる人がいます。
原因は、もちろん一つとは言えませんが、拒食症も過食症も、非常に強い自己表現です。
こころの中にある、満たされていなかった思いに気がついて欲しいという強力なメッセージとも考えられます。
拒食症が起るきっかけ
拒食症は、職場や学校、家庭などで何らかのストレスを受けたことがきっかけで、食欲が無くなっていく場合と、ダイエットがきっかけで、食べることが怖くなっていく場合があります。
周りの人が心配になるほど痩せていっても、本人はそれほど気にしていないところがあります。
特に、ダイエットが昂じて拒食症になった人は、体重が減るということの方が重要になってしまうのです。
やせ衰えていく拒食症
痩せる=きれいになると認識しているかもしれませんが、決してそうではありません。
痩せて引き締まるのではなく、やせ衰えているということなのです。
直接引き金となることとしては、周囲の人から自分の体型について、何か言われたことなどがよくあげられます。
例えば、職場や学校で、異性から「少し太った?」「ぽっちゃりしているね。」などの言葉をかけられたときなどです。
最初は、ダイエットをしているはずなのですが、だんだん度を越してエスカレートしていきます。
実は、頭の中は常に食べ物のことでいっぱいです。
食べたいけど、我慢しなくちゃ!
そして、ほんの少しの食べ物でも口にすると、とたんに自己嫌悪に襲われたりすることもあります。
生理が止まる、栄養失調になるなど、多くの身体的な影響も出てきます。
本人が思っている以上に、深刻な場合もありますので、専門の機関に相談して、適切な治療を行っていくことが大切です。
拒食症の本当の原因
直接の引き金は、周囲の人からの一言だったりするのですが、実は、もっと深いところに本当の原因があるといわれています。
幼いころからの体験の中に、愛情に飢えていた体験があったり、無意識の中に、オトナになりたくないという願望があったり。
表面的な原因だけでなく、心の奥深くの原因に気づいてあげることも、解決策の1つとして、大変重要です。
過食症が起るきっかけ
拒食症と同じように、様々なストレスを感じる中、それを和らげようと衝動的に「食べる」ことに走ってしまうのが過食症です。
最近では、食べた後に後悔し、体重を気にして自ら食べた物をおう吐する「過食嘔吐」の症状がある方もいらっしゃいます。
自分でも、この行動はあさましく思え、止めたいと思っているのですが、なかなかその衝動を抑えることは難しいようです。
そのため、自分自身に嫌悪感を抱いてしまったり、食べる行為そのものがあさましい事に感じてしまったりする人もいるでしょう。
食べている間は、つかの間の安心感を得れるので、どうしても止められないのです。
過食症が進行すると…
症状が進むと、一日に5回〜10回も過食・嘔吐を繰り返してしまう場合もあります。
食べ過ぎてしまうことの自己嫌悪に加え、食べた後、吐かずにはいられないことへの嫌悪感に苦しむ方も多くいらっしゃいます。
当然、身体への負担も大きく、生死にも関わることにもなります。
苦しみを自分の中だけに閉じ込めないように、信頼できる周囲の人や、専門の機関に相談することが大切です。
過食症の本当の原因
何らかのストレスが引き金になることが多いのですが、拒食症と同様、心の深いところに原因がある場合も多くあります。
身体のケアと心のケアを同時に行っていくことがベストです。
適切な対応をすることで、必ず回復していくものです。
家族や周囲の人たちも、神経質にならず、楽観的な態度で接することも大切です。
摂食障害の原因
原因として考えられるものは、いくつかあります。
脳の働きがアンバランスになっている可能性や、セロトニン神経の働きが衰えるなど、器質的な原因と、こころの中の問題である、心理的原因が考えられています。
心理的原因としては、摂食障害になる人は、母親との関係に葛藤がある場合が多く見られます。
充分に受け入れてもらえなかったと感じていたり、女性らしくなることに恐れを感じていたりすることもあるようです。
また、家族の中で孤独を感じているような場合も、その孤独を「食べること」で埋め合わせようとするなど、摂食障害の原因になることがあります。
私たちは、全て、大切な存在で、愛される存在です。
ただ、そのことが充分に身体とこころで感じ取れないことがあるでしょう。
その満たされないこころを、少しずつ癒し、愛情を周りからも自分からも感じとっていくことで、徐々に回復へと向かっていくでしょう。
by 武田亜季
認定心理カウンセラー
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