不眠症は日本では4人に1人といわれているくらい、よくあることです。ストレスや不安などで眠れなくて悩んでいる方も多いのではないでしょうか?または、何か心に負担がかかっていて、その事を何とかあなたに伝えようとしている、「身体からのサイン」とも考えられます。不眠症の原因や眠りやすくするための方法をご紹介します。
不眠は心からのサインかも!?
夜になると、寝付けない。ベッドに入ると、色々な事を考えて頭が冴えてしまう。明け方しか寝れないから、昼間眠くて仕方がない。
こんな経験がある方は、もしかしたら不眠の傾向にあるかもしれません。不眠症の原因は、色々ありますが、一時的な環境の変化や、心理的ストレスがかかる状況下におかれているために、数日間眠れないものを一過性不眠と言います。
環境や、ストレスではなく、心疾患や呼吸器疾患など、身体の病気の為に眠れないということも起こります。身体の病気を治すことで、不眠が解消することもあります。
または、何か心に負担がかかっていて、その事を何とかあなたに伝えようとしている、「身体からのサイン」とも考えられます。心の負担を取り除き、心地よい睡眠を取り戻しましょう。
不眠症の種類
「不眠症」は、その症状によって、いくつかの種類に分けられています。
@入眠障害の不眠症
これは、寝付きが悪く、なかなか眠れない、という症状です。だいたい、眠るまでに30分〜1時間以上かかるような場合を指しています。
A中途覚醒の不眠症
これは、朝起きるまでの間に、何度も目が覚めてしまうものです。特に、中高年の方に多く見られる症状です。
B早朝覚醒の不眠症
これは、朝早く目が覚めてしまう症状の事です。早すぎるので、もう一度寝ようと思っても、一度起きると、もう寝られないという症状です。
また、充分に睡眠時間はとっているのに、眠りが浅いため熟睡感が得られないと言った症状もあります。
不眠症の原因
不眠症の大きな原因の一つに、「自律神経」のバランスが崩れていることが考えられます。自律神経は、私たちが意識でコントロールできない部分をコントロールしている神経の事です。
例えば、呼吸や消化、体温調節、脈拍などの部分を調整しています。自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」があります。「交感神経」は、身体を緊張させ、興奮状態にする神経です。対する「副交感神経」は、リラックスする神経の事です。
通常、朝起きて、これから動くぞ!という時に、交感神経が働き、夜、一日の生活が終わると、副交感神経が働くことによって、自然に眠くなっていくのです。
不眠症は、交感神経がずーっと働きっぱなしになっているために、夜ゆっくりと眠れなくなっているのです。分かりやすく説明すると、交感神経が「アクセル」、副交感神経が「ブレーキ」です。
ずーっと、アクセルを踏みっぱなしの状態では、休む事はできません。心の状態によっても、ブレーキの存在を忘れてしまうことがあるのです。アクセルとブレーキを適度に使えるよう、メンタルトレーニングをしていきましょう。
不眠症からの回復
大きな原因として、自律神経のバランスが崩れている事をお話しました。バランスを整えるのに効果的なものがあります。「自律訓練法」です。
これは、習得すると、ご自宅で一人で実践することができます。寝る前にベッドの中で実践すると効果的です。また、「呼吸法」も、簡単で非常に効果があります。
自律訓練法
自律訓練法の習得には、カウンセラーなど専門家に指導してもらうことを薦めます。
まず、静かな部屋でリラックスして、横になります。ベッドの上でも大丈夫です。次に、身体の力を抜いて、軽く目を閉じて下さい。そして、これから紹介する公式を一つずつくり返しながら、イメージしていきます。
自律訓練法「公式」
基本公式
気持ちが落ち着いている(気持ちが落ち着いているイメージを持ちながら、くりかえします)
第1公式
- @右手が重たい(右手が重くなっているイメージを持ちながら、くりかえします)
- A左手が重たい
- B両手が重たい
- C右足が重たい(右足が重たくなっているイメージを持ちながら、くりかえします)
- D左足が重たい
- E両足が重たい
- F両手両足が重たい(慣れてきたら、一度に両手両足が重たいと行っても大丈夫です)
第2公式
両手両足が温かい(初めは第1公式のように、手足バラバラに一つずつ行いましょう)
第3公式
心臓が静かに楽に打っている(心臓に問題がある方は、飛ばしましょう)
第4公式
呼吸を楽にしている
第5公式
お腹が温かい(消化器系に問題がある場合は飛ばしましょう)
第6公式
額が涼しい(公式の途中で、眠ってしまってもOKです。それで睡眠の効果があります)
※注意事項昼間、自律神経の訓練として行った場合は、最後に必ず「消去動作」を行ってから日常生活に戻るようにしましょう。
消去動作は、大きく深呼吸して、手を開いたり閉じたりをくりかえします。目をパチパチ開いたり閉じたりしてください。
呼吸法@
呼吸と自律神経には深い関係があります。呼吸とは、息を吸って吐くことですよね。実は、息を「吸う」時、交感神経が働きます。緊張する神経です。
そして、息を「吐く」時、副交感神経が働きます。リラックスする神経です。呼吸は、普段無意識にしているものです。意識的に深い呼吸をすることで、身体をリラックスさせることができます。
吸う時間より、吐く時間を長くすると、それだけ副交感神経が働きます。緊張している時は、呼吸が浅く早くなるのはそのためです。
呼吸法A
現代人は、呼吸の仕方が「胸式呼吸」になっている人が多いようです。胸式呼吸だと、空気が肺に入らないので、長く吐くことが出来なくなります。
「腹式呼吸」を心がけましょう。見分け方としては、胸式呼吸をしていると、息を吸った時、胸の上部や肩が上がります。
そして、息を吸った時、お腹が凹んでしまっています。ちゃんと、腹式呼吸が出来ると、肺の深いところまで空気が入ります。息を吸った時にお腹が出て、吐くと引っ込みます。
難しい人は、仰向けに横になり、膝を立てた状態で、お腹に手を当てます。そして、息を吸った時にお腹が出るように練習してみましょう。
by 武田亜季
認定心理カウンセラー
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