卵巣がん

カラダ2021.03.18(Thu) 18:00

卵巣がん

卵巣がんは、静かなる腫瘍と呼ばれ、初期に自覚症状がないため、子宮がんのような早期診断法がありません。

30〜40代での発症が増加

卵巣は親指ほどの臓器ですが、良性・悪性含めて多くの種類の腫瘍が発生します。

腫瘍の約80%は良性ですが、20%は悪性の卵巣がんです。

卵巣がんは40代〜60代の女性に多く発生しますが、最近では30〜40代での発症が増加しています。

これは、昔に比べて初潮をむかえる年齢が早まり、また妊娠・出産回数が減ったことによる排卵回数の増加で、卵巣が休むことなく働き続けていることがひとつの原因と考えられます。

Silent Cancer(静かなる腫瘍)

卵巣は体の奥にあるため、細胞や組織をとって検査することができず、子宮がんのような早期診断法がありません。

また、卵巣がんは「"Silent Cancer(静かなる腫瘍)」といわれるほど、初期にはほとんど自覚症状がないため、気づいたときにはかなり進行している場合が少なくないのです。

卵巣がんの約半数は進行期になって発見されており、そのため卵巣がんの死亡率は他のどの婦人科がんよりも高くなっています。

卵巣がんのリスク

おもな卵巣がんのリスクは…

  • @妊娠・出産の経験がないか、または少ない
  • A親族に卵巣がんや乳がんの人がいる
  • B子宮内膜症の卵巣チョコレートのう腫がある

などです。

特に卵巣チョコレートのう腫は、近年になって、長い経過ののちに悪性化の恐れがあることがわかり、注意が必要です。

リスクの高い人は、超音波検査などの定期的な検診が重要です。

卵巣がんの治療

卵巣がんの治療は、開腹手術が基本で、子宮、両側卵巣と卵管、大網、必要に応じてリンパ節の切除、というように広範囲にわたります。

片側の卵巣にがんが発見された時点で、すでにもう片方の卵巣にも転移していることが少なくないため、転移の見落としを避けるため通常は両方の卵巣を切除します。

しかし、がんが片側の卵巣に限局しており、将来妊娠を希望する場合には、片側の卵巣を残す手術も可能です。

必要に応じて化学療法(抗がん剤治療)も手術の前後に行われます。

抗がん剤による治療は身体的にも精神的にも大変なものですが、近年開発された抗がん剤の導入によって、卵巣がんの生存率は格段に上がっているのです。

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松村圭子

by 松村圭子

成城松村クリニック院長