膣トリコモナス感染症とは?
膣トリコモナス感染症は、トリコモナス原虫の感染によって起こる膣炎で、悪臭が強く、膿性で(膿のような)泡沫(ほうまつ)状の(あわを吹いたような)おりものが増え、外陰部のかゆみや灼熱感を伴います。 膣壁や子宮頚部が赤く腫れ、性交時痛や軽度の出血が見られることもあります。
膣トリコモナス感染症の症状
症状は、感染後約3週間で現れることが多いのですが、症状のないことも多く、女性の約半数は症状のない無症候性と言われています。 また、膣トリコモナス感染症は、細菌性膣炎(さいきんせいちつえん)との合併も多く見られます。 トリコモナスの感染が膣だけでなく尿道に及ぶと、尿道炎や膀胱炎(ぼうこうえん)をきたすこともあり、感染が卵管にまで及ぶと不妊症の原因になります。
膣トリコモナス感染症の感染ルート
トリコモナスは主に性行為によって感染するので、性行為のある性成熟期の女性に多く、逆に年配の女性にはあまり見られません。 しかし感染は、性行為以外でも濡れた衣類やタオル、トイレの便座、サウナや公衆浴場などを介して起こることもあります。
膣トリコモナス感染症の診断
診断は、おりものを直接顕微鏡で見て(鏡検)、運動するトリコモナス原虫を確認すれば確定診断となりますが、トリコモナス培地を用いた培養を行って診断することもあります。
膣トリコモナス感染症の治療
治療は、膣を洗浄した後、膣錠の挿入を10日〜14日間行います。 さらに効果を高めるために、内服薬を10日間飲む治療を同時に併用することもありますが、妊娠中は内服による治療は避け、膣錠の挿入のみ行います。 妊娠中の感染でも胎児に影響が及ぶことはなく、出産時に新生児に感染することもめったにありません。 トリコモナスは性行為感染症なので、ピンポン感染を防ぐためには、セックスパートナーも同時に治療を行う必要があり、男性の場合は内服薬のみの治療を行います。
by 松村圭子
成城松村クリニック院長
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