中絶によるリスクや費用について。
中絶の件数と現状
平成17年度の人工妊娠中絶件数は、289,127件ですが、約50年前は1,170,000件もの中絶が行われていました。 当時の出生数が1,731,000件ですから、中絶件数は出生数の4分の3ほどとかなり高い値を示していたことになります。 以後徐々に件数は減り、1970年以降、出生数の3割台にまで大幅に減少したあとは、特に大きな変化はみられていません。
年齢階級別中絶件数
年齢階級別にみると、中絶件数が最も多いのは、20〜24歳で、72,217件となっています。 各年齢層で中絶件数が減少傾向にある中、性交渉の低年齢化や避妊をしないセックスの影響からか、10代の妊娠・人工妊娠中絶が増加傾向にありましたが、ここ数年は減少してきています。 避妊用ピルの使用が普及してきたことも一因でしょう。
薬による中絶と手術による中絶
通常、人工妊娠中絶は手術によって行われます。 全身麻酔をかけて、子宮の入り口を拡張し、子宮内の胎児や胎児成分を除去します。 欧州では、飲む中絶薬によって人工妊娠中絶をすることがあります。 この経口中絶薬は、RU486と言われるもので、1980年にフランスで開発されました。 妊娠を維持する働きのある黄体ホルモンを抑制することによって人工的に流産させるもので、妊娠7週以内であれば内服可能です。 これは日本では認可されておらず、大量の出血や中絶が不完全に終わる危険性もあるため、認可されている国でも病院で医師の指導のもとに行われます。
術後経過や影響
人工妊娠中絶の術後は、子宮収縮剤や抗生剤を内服しながら、1週間くらいはなるべく安静にしておく必要があります。 術後出血は少量続きますが、だいたい1週間もすればおさまってきます。 痛みもそれほどないことがほとんどです。 生理はだいたい術後30〜40日の間に来ることが多いようです。 手術が無事に終わり、術後の注意事項を守って過ごしていれば、中絶手術自体が将来の妊娠に影響を及ぼすことはありません。
中絶にかかる費用
人工妊娠中絶は保険がきかず、自費診療になりますから、費用は病院によって異なります。 入院をするとしないとでは料金も変わってきますが、妊娠初期の中絶であれば、約100,000円〜150,000円くらいが相場です。 中期の中絶になると、子宮を収縮させる薬を使って、軽いお産のような形で人工流産させるので、入院をすることになります。 入院日数にもよりますが、費用は初期の中絶の2倍以上になることもあります。
by 松村圭子
成城松村クリニック院長
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