二の腕やお腹の気になる脂肪、ついため息が出てしまう人もいるのでは?いや〜な脂肪を撃退するために、多くの女性がダイエットに取り組んでいますね。でも、脂肪ってそんなに悪者なのでしょうか?ここでは、実は重大な働きを持つ脂肪細胞についてご紹介しましょう。
「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」の違い
脂肪細胞には、「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」の2種類があり、全く異なる役割を果たしています。
白色脂肪細胞は、余ったエネルギーをたくわえる“ためこむ脂肪”で、一般的に「体脂肪」といえば、これ。
一方、褐色脂肪細胞は、脂肪を燃やして熱を作る“やせ脂肪”で、首や肩、背骨の周りに分布しています。
飢えに備えてたくわえるのが白色脂肪細胞で、発熱作用で寒さから身を守るのが褐色脂肪細胞。
ただ、飢えや寒さとは縁遠い現代、脂肪細胞は本来の働きを発揮することなく、嫌われ者の“ぜい肉"となってしまったのです。
満腹ホルモン「レプチン」とは?
そんな残念な脂肪細胞ですが、近年、あらたな働きがわかってきました。
白色脂肪細胞は「レプチン」というホルモンを分泌します。
レプチンは、脳の食欲中枢に作用し、食欲を抑える働きをする“満腹ホルモン”。
体脂肪が増えるとレプチンも増えて食欲が低下し、体脂肪が減るとレプチンも減って食欲が増進します。
レプチンで性ホルモンが活性化
また、レプチンには、脳の視床下部に作用して、性ホルモンを活性化させる働きがあります。
脂肪のたくわえがあると、レプチンも増えて、性ホルモンが活性化されて妊娠しやすい状態を作りますが、脂肪が減るとレプチンも減り、性ホルモンの働きが低下して妊娠しにくい状態になってしまうのです。
脂肪は月経や妊娠にも大きくかかわる大切な存在
極端なダイエットをして“飢餓状態”になると、体は“生命の危機”と判断して、レプチンを低下させ、生命維持とは直接関係のない生殖機能をストップさせるのです。
その結果、無月経になったり不妊になってしまうことも。適度な脂肪は、性ホルモンを活性化させて妊娠しやすい状態にするのに必要なのです。
飢えや寒さとは縁遠い現代。本来の働きを発揮できず、嫌われ者の“ぜい肉”となってしまった脂肪細胞ですが、とりわけ女性にとっては月経や妊娠にも大きくかかわる大切な役割があるのです。
by 松村圭子
成城松村クリニック院長
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